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橈骨遠位端骨折

症状

踏み台やベッドなどから転倒し、手をついて受傷することの多い骨折です。手首の関節部の痛み、腫れ、関節可動域の制限が起こります。ほとんどズレのない骨折からフォークのように手首が曲がってしまうような骨折まで、程度はさまざまです。

橈骨遠位端骨折術前レントゲン写真

術前X線

フォーク状変形

フォーク状変形

病態

前腕には2本の骨があり、親指側の骨が橈骨、小指側の骨が尺骨と呼ばれます。これらのうち、橈骨が手首のところ(遠位端)で折れる骨折を橈骨遠位端骨折と呼びます。骨折の中でも頻度が高く、特に閉経後の中年以降の女性や高齢者では骨粗鬆症で骨が脆くなっているため骨折しやすいのですが、若い人でも高所から転落した場合や、交通事故などで強い外力が加わると起こります。もう片方の尺骨の先端やその手前の部分が同時に折れることもあります。

骨折や腫れにより、手首の掌側を走っている正中神経が圧迫され、親指から薬指までの範囲のどこかにしびれや感覚低下を生じることがあります。骨折によるズレが大きく、骨折部によって神経が圧迫されているような場合、放置すると後に後遺障害を残すことがありますので、すみやかな手術が必要です。

治療

まずX線(レントゲン)検査で確認し、レントゲン像で不安定なタイプや関節面に骨折が及ぶような場合はCT検査を追加してさらに詳細に検討します。骨折のタイプを正確に判断し、ご本人の生活習慣なども考慮し、適切な治療を選択します。

骨折によるズレが小さい場合は最初からギプスやシーネで固定して治療しますが、骨折によるズレが大きい場合は麻酔下に整復操作を行ないます。固定期間は通常4週間程度で、その後リハビリテーションが必要となります。整復しても骨折部が不安定な場合、手首の関節の一部がずれたままで整復出来ない場合は手術が必要になります。当初は安定していてギプス固定したものの1週間以内に再度ずれてくる(再転位する)場合も手術が必要です。

手術は骨折の仕方によって手技が異なります。粉々に骨折している場合は、創外固定という器具を取り付ける方法を用いますが、多くの場合は4cm程度、皮膚を切開してプレートによる固定を行うことがほとんどです。骨折の程度によってはプレートだけでは不安定となるため、後で抜くピンを入れて補強する場合もあります。プレートは原則としては抜去しませんが、患者様のご希望があったり、何らかの術後障害が懸念されたりする場合は術後6ヶ月から1年の間に抜去することもあります。プレートによる治療では、しっかり固定できれば術後すぐに手首のリハビリテーションを始められるため、手首の動きが保たれやすいことも利点です。

橈骨遠位端骨折術後レントゲン写真

術後X線

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